Archive for 7月 17th, 2009

土方歳三写真の謎 その九

その後の調査で東京日野の平家、土方家にある土方歳三の全身写真は、元々、写真台紙
表の下部に左から右に、「PHOTOGRAPHER  GK  JAPAN ARTIST」とデザインされた意匠が
印刷された写真であることが判った。
しかしながら、この「PHOTOGRAPHER  GK  JAPAN ARTIST」の写真台紙の写真(以下、
「GK写真」と略称す)が、どこの写真館で使用されていた写真台紙なのか判らなかった。
ところがである。
今年の日本写真芸術学会の年次大会で行われた懇親会にて、小沢健志先生、石黒敬章先
生、金子隆一先生などとこの件で尋ねてみたら、もしかすると既製品の写真台紙ではな
いか?という助言をいただいた。
そこで先日まで改めて明治期の主だった台紙製造業者についてを、以下の参考資料で調
べてみた。

小西六写真工業編『写真とともに百年(小西六写真社史)』
(小西六写真工業社史編纂室、昭和四十八年)
浅沼商会編『浅沼商会百年史』(浅沼商会、昭和四十六年)
『浅沼商会写真台紙定価表』
(浅沼商会、明36年、17.5x23 18p)
浅沼治編輯『浅沼藤吉伝』(非売品、1941年)
佐藤清一著『函館文化発見企画1 函館写真のはじまり』(五稜郭タワー株式会社、
平成十一年)
岩佐博敏『北海道写真百年史 蝦夷地写真の渡米より現代に至る営業写真の変遷』
(札幌写真師会、昭和四十五年)

その結果、少し判ってきたのは、函館の田本研造の写真館では、明治になって浅沼商会
から写真材料、写真台紙を仕入れていたということだった。

こういうことを地道にしていたら、ある日、突然ひらめいたのである。
というのも、浅沼商会は明治初年に写真台紙で、浅沼商会のオリジナルブランド名とし
て「キングの写真用品」という商品を販売していたのだ。
何が言いたいのかといえば、つまり「GK写真」とは「KG写真」(キングの略)ではな
いかということだ。
そうであるならば、このこの「PHOTOGRAPHER  GK  JAPAN ARTIST」の写真台紙の写真
(今後は訂正して、「KG写真」と略称す)は、函館の田本研造の写真館が浅沼商会よ
り仕入れていた「キングの写真用品」の写真台紙というのが、真相ではないだろうか?