東京 亀戸天神社の藤
今年も友人を案内して東京江東区の亀戸天神社に藤の花を観に行ってきた。
江戸の昔から東京では藤といえば、この亀戸天神社の藤の花が有名だ。
梅や藤の美しさは、浮世絵師・安藤広重の「江戸名所百景」でも取り上げられてい
る。
お天気のいい祝日のお昼前、予想してたとはいえ、亀戸駅からすでに多くの人々が亀
戸天神社を目指して歩いている。
そして亀戸天神社の正門から太鼓橋、奥の社殿まで人でいっぱいだ。
それでも太鼓橋に上って境内の藤の花を眺めれば、今年ももうすぐ東京に夏が来るの
だと僕は思う。
こういった季節の移り変わりを自然の草花や、祭りなどの風俗から思いやるというこ
とに、最近ようやく慣れてきた。
おそらくこれが老いの始まりということなんだろうが、渋谷、新宿、六本木といった
繁華街で時間を過ごすことよりも、根津、谷中、日暮里、深川といった場所を散策し
て過ごす方が今は楽しい。
そして地元に老舗の美味しい鰻屋か蕎麦屋があれば、もうそれで最高の幸せなのであ
る。
そんなことをぼんやりと考えながら僕は東京で生活しているわけだが、よく考えてみ
ると僕は江戸、幕末、明治、大正、昭和と歴史を重ねてきた東京の町が大好きなの
だ。
おそらくそれは転勤、引っ越しの多かった僕の生い立ちに関係しているのだろう。
僕の両親は二人とも九州は大分県の出身で、僕自身も中学二年から大学までの間を大
分で過ごしたのだが、今では人生の三分の二を東京で生きている。
だから東京は僕の取っては故郷といってもいいくらいだ。
もっとも日本の全人口の十人に一人は東京都に住んでいるわけだから、僕と同じよう
に感じている人も多いような気がする。
それにしても初夏を迎える季節の藤の花は、淡い紫が可憐で美しい。



