歴史写真
☆ ☆☆☆☆原市之進 ☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆土岐朝海
最近、東京大学の馬場章研究室が中心となって古写真のデジタルアーカイブ化の作業
を行っている。
その第1弾として産業能率大学所蔵の上野彦馬の写真を中心に、そのデジタルアーカ
イブ化と馬場章編『上野彦馬歴史写真集成』(渡辺出版)という本も出版された。
これ自体は大変すばらしい試みだと僕も思う。
ただ惜しむらくはせっかくの上野彦馬の写真集を出版するならば、写真の選定などで
もっと広く研究者の意見を聞いてからおこなって欲しかった。
それが無かったために、結局この『上野彦馬歴史写真集成』には上野彦馬が撮影した
写真ではない風景写真も間違って集録、掲載紹介されてしまった。
このことは今後、同じような試みを行う際にはぜひ反省、知見として貰いたいもので
ある。
さて、ここで馬場章研究室は古い写真を、従来、通例として(一般的に)「古写真」
と呼称していたのを、今後は「歴史写真」と言っていこうと提案している。
それは、「古写真」が持っている様々な情報をきちんと調査、精査して、歴史的な重
要資料としての価値を認め、後世に伝えると共に、今後の「古写真」の保存、管理、
整理の方法としても一つの様式を確立していくと同時に、日本全国の博物館、郷土資
料館などの協力も仰ぎ、これらが現在所蔵している「古写真」情報も共有化してゆこ
うという壮大な試みとなっている。
この活動に僕は全面的に賛成、賛同している。
ただ、一般にもっと関心を持って貰う人を多くするためには、呼称については馴染み
のある「古写真」という呼称(通称)でいいのではないかと僕は考えている。
古写真の研究は今まで一個人の研究者の努力に依存していて、組織だった研究もされ
ておらず、そのため古写真研究の後継者も育成されずといった状態が長く続いてき
た。
それがここ数年、状況が少しずつ改善されて、ようやく新しい若手古写真研究者も増
え始めてきたように思う。
東京都写真美術館、日本カメラ博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、長崎
大学、尼崎市総合文化センター、東京都庭園美術館などの古写真展示はその非常にいい例だと思う。
しかし、実は新発見、新発掘の古写真を見つけるという作業は、まだまだ外国人古写
真ディーラーの活躍や、骨董業者、個人古写真コレクターの努力に依存しているのも
また事実なのだ。
僕としては古写真研究者はもっともっと地道にお墓探し、ご子孫探しなどの現地調査
や、古写真探索に時間を割いて努力して欲しいと考えている。
さて前置きがまたまたすっかり長くなってしまったが、今回の古写真は非常に歴史的
な意味、価値の高い写真なのだ。
(つづく)



