東京 芝 紅葉館

03

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京芝、紅葉山にあった超高級料亭「紅葉館」は、明治14年(1881年)、芝の紅葉山
に開業した純和風の高級料亭だ。
開業当初は三百名限定の会員制(一人十円の出資)だったため、政界、財界人などの
ごく一部の上流階級の人間しか会員になれなかった。
もっとも明治25年以降は、会員だけでなく一般の人も使用できるようにはなったが、
超高級料亭であったため僕のような貧乏人には全く縁の無い場所だった。
また、明治の文豪、尾崎紅葉が自分のペンネームとして使ったのがこの「紅葉館」
だ。
尾崎紅葉といえば新聞小説「金色夜叉」だが、この小説の中で、すがりつくお宮を貫
一が足蹴にする場面が、その後の芝居、映画で特に有名になった。
実はこれは尾崎紅葉の実体験に基いている。
「紅葉館」の女中、お須磨と、尾崎紅葉の文人仲間の巌谷小波が恋に落ちるのだが、
お須磨は当時の大出版社・博文館オーナーの大橋新太郎に心変わりしてしまう。
これに怒ったのが尾崎紅葉で、彼は「紅葉館」の二階廊下でお須磨を激しく詰問し、
お須磨を足蹴にしたという。
このときの体験が元になって新聞小説「金色夜叉」の名場面として書かれたわけだ。
「紅葉館」は昭和20年3月10日の東京大空襲で焼失してしまうが、その後、「紅葉
館」の広大な敷地は日本電波塔株式会社に売却され、昭和33年12月23日、この場所に「東京タワ-」が完成する。



コメントはありません

コメントを閉じます。